鍼が効く理由③
「どうして鍼をしたら痛みが消えたのですか?」
「経絡の流れが良くなったから」
説明としては不十分かもしれません。
ところが、「治療」に関していえば、これだけで「可能」です。
“スイッチを入れたら明かりがつく”のと同様に
“鍼をしたら痛みが治る”という「事実」があるからです。
つまり、「スイッチ」の位置さえわかれば「明かり」をつけることが出来るのと同様に、
適切な「ツボ」に鍼灸を行なう技術があれば「治療は出来る」のです。
東洋医学は経験医学と呼ばれ、経験の積み重ねから発展していった医学でもあります。
太陽が東から出て西に沈むのと同様に、事実として「そうなっている」のです。
多くの事実や法則から理論化・体系化したのが東洋医学です。
(これは東洋医学に限ったことではありませんが・・・)
詳しい知識がなくても、説明できなくても、なぜなのか理由はわからなくても、治療は出来るのです。
例えば、
腰痛がある人に、「委中」という膝の裏にあるツボに鍼を刺したら腰の痛みが無くなった。
とします。
東洋医学では、身体に「経絡」という流れがあると考えています。
そして流れが滞ると、痛みなど様々な症状や病気が出てくると考えています。
そこで、この場合であれば、腰を通っている「足の陽明膀胱経」という経絡の「委中」というツボに鍼をしたことで、経絡の流れがよくなり、痛みが無くなったと考えるわけです。
しかし、これは一つの見解でもあります。
経絡という考えではなく、痛みを抑える物質が出たから、という見解をする場合もあります。
見解は一つではないのです。
「どうして鍼をしたら痛みが消えたのですか?」
「人間の身体は不思議です」
説明にはなっていませんが、私としては最もしっくりといく応えかもしれません。
そうはいっても、治療に「納得」してもらうことは、治療家の責任として必要なことだと思います。
治療ができるからといって、無知でもいいというわけではないと思っています。